

介護現場で看取りをしてきました
夜勤のある日、旅立ちが近い方に「息子さん来てくれるよ。でも四時間かかってしまうって」と耳元でお伝えすると、不思議な事がおこりました。70台まで下がっていた酸素飽和度が1ずつあがり、
息子さんの到着まで呼吸を繋いでくれたのです。
それからは最後の時にはいつも、お子様の到着時間をお伝えするようにしていました。
女性の方は全員、お子様に会われて旅立たれました
ただ、その到着を待つ間の肩呼吸がとても辛そうで何か出来ないかと思い、ボイスレコーダーでお子様のインタビューを録音しました
思い出話、いちばん好きなお袋の味、最後の質問は毎回「お母さんの事好きですか?」です。
すると、70を過ぎた息子様も、娘様も、皆さん
「母のこと、大好きです」と答えてくださいました。
その声を聴かれた利用者様は、驚いたような目をされ後
なんともいえない、幸せそうな顔を見せてくださいました
最後の時、お子様のインタビューをリピートで流しました。
不思議と、辛そうな表情や肩呼吸もなくなり、穏やかにお子様の到着を待たれるようになりました
人は満潮で生まれ、引潮で旅立つといいます。満月の夜、珊瑚が一斉に産卵するように、命の不思議と、繋がりを感じました
命のバトン、命の神秘、それをも超える人の想い、それを表現したいと思い、珊瑚の産卵をモチーフにした絵を描いています
そして、絵に興味を持ってくださった方に、このお話をする事で
親御様へ、声にだして「大好き」だって伝えようキャンペーンをしているのです(自己満足ですが)
だって、うれしくないですか?成人を、とうに過ぎたお子様からの
「大好き」という言葉
介護職員も、看取った後「もっと何か出来たんじゃないか?」と思うものです。お子様なら、尚更ですよね。
どんなに尽くしても、きっとそう感じるのだと思います
だからこそ、言葉にして「大好き」だって伝えてください
その言葉を聞いた時の、あの、なんともいえない幸せそうなお顔を
是非見て欲しいのです











「 」 くうはく

風景画じゃないよ。よく見てみて!
犬が見えてこない?その横から猫が顔をだいている。
なくなった犬と猫が、夕日となって姿を現し、飼い主を抱きしめる
悲しまないで----前を向いて
---この世はこんなにも美しい
大好きだよ。
あなたの笑った顔が大好きなんだ
この絵には主役はいない。
タイトルの「 」くうはくは、主役の心にぽっかりとあいた穴。
上から下を見る構図で、主役の心情を表現した。
この絵を見る人が主役の絵なのです。
そう、主役はあなたです。
時に人は、他人と自分を比べる
自分の足りないところにばかり目がいったり
完璧じゃなくていいんだよ
欠けてたっていいんだよ
あなたの人生の主役は、
あなただってこと
忘れないで

語り継がれる夢のカケラ
Dream Fragments Passed Down
Dream Shards to Be Remembered
Echoes of Dreams Carried On
2025年作
F10号キャンバス、ミクストメディア

昔々、夜空の向こうに
ひとつの夢がありました。
その夢は、誰かの心にそっと宿り
静かに囁きました
この夢を忘れないで
またいつか出会えるから
けれど、大人になるたび
夢はひとつ
またひとつと
手からこぼれ落ち
私には何もないと泣きました
すると心の奥から
ちいさな夢のカケラが
そっと姿を表し
大きな世界をうつしました
----全部捨てたはずなのに----
夢のカケラは、ずっと私を支えていたのです
月は眠れぬ夜に寄り添い
魚は、まだ見ぬ世界を目指し
蝶は自由に飛びたいと願い続ける
この作品が、誰かの心の片隅に
そっと届きますように

タイヨウノウタ

踏まれても、風に吹かれても、しなやかに立ち上がる----そんな命の逞しさが奄美には息づいている
自然の猛威と共に暮らしながらも、奄美の人は
歌い,笑い、生きてきた
大雨で村が湖のようになった時、村で唯一の鉄筋コンクリートの二階建ての家に避難した
そこで、おばあが言った
「ぬっちが宝(命が宝)」と
その言葉を合図に、歌が始まり、笑いがうまれる
かつて差別や迫害を受けてきた、おばあ達は、それでもなお笑い、唄い、苦しみを乗り越えてきたのだろう
この作品は、「歌うように生きる」ことの美しさと強さを描いた、ひとつの小宇宙である。
何度でも立ち上がる命
何度でも咲きなおす心
「タイヨウノウタ」は、その賛歌である。

「生きる」-----バナナの木-----

バナナの木は一度だけ実をつけ、やがて枯れます
けれど、根元新しい新しい命が芽吹きはじめています
子供の頃、親に「悲しまなくていいよ。子供のバナナの木が生えてくるから」と言われました。
その言葉に、慰めと寂しさと、生きることの不思議を感じました
この絵には、きれいなものだけでなく
弱さや醜さ、崩れていく過程もすべて抱きしめながら、
それでも「生きる」ことの美しさを描きたいと思いました
命はつながっていく
たとえ形を変えても、想いはそこに残り続ける

誰にも折られない背骨

エリック・サティ
幼い頃に母を亡くし、義母に言われた
「あなたの音楽には心がない。
くだらない。 時間の無駄よ。」
それは傷も知らない少年の心臓に
するどく刺さる言葉だった。
笑われ、見下され、酔って
ひとりぼっちの部屋で、音だけが側にいた
それでも彼は書き続けた
「誰にも分かってもらえなくてもいい。わかってくれた時に、僕がいなくても構わない」
理解を求めない愛なんて、どれだけ冷たい世界で生きてきたんだろう
死後、彼の曲は「美しい」と言われた
でもそれをサティは、もう聞いていない
--------私にも似た日がある
「それだけは言わないで」って、喉が張り裂けそうな程願った言葉を、一番言って欲しくない人に言われた。
声が出なかった
崩れそうだった
でも、筆だけは離さなかった
この龍は、あの日、黙って飲み込んだ怒りと悔しさと、それでも捨てれなかった色の塊だ。
やさしいだけじゃない。折り合いがつかないまま、それでも描いた
---だから、どうか、
゛かけなくなった誰か゛の背中を、そっと押せますように。
泣いてもいい
怒ってもいい
でも、かくんだ!!
龍はもう、誰にも折られない背骨で、ざらざらの風をきって、空を登っている


オノマトペ

地球は、まぁるい
まぁるく全て繋がっている
海も、地上も、空も、地球に住む生命体全て
人間は人間。同じ人間。
何故争う?
見てごらん!命の美しさを
見てごらん!命の尊さを

桜島-----大地の調べ

桜島が目覚めるたび
炎は命を描きだす
揺るぎない力
灰色の空さえ、未来を照らす灯火
君の中に眠る桜島が
この世界を変える鼓動となる
さぁ---動き出せ!

ただ、ひたすらに

ある日の朝はとっても幸せ
ある日の夜は息ができない
時間は平等
命の平等
ほんとうに平等?って疑う時もあるよね
誰よりも幸せで
誰よりも不幸
命は裏腹だ
だけど、誰かにとって
世界にとって
生まれた命は奇跡なんだ!!

Apple

「人は何故文化活動を行うのか?」
という問いの答え
-----それは、リンゴを食べたから
最初の文化活動は、
音楽でも言語でもなかった
それは、噛みしめた果実の味---
甘さと苦さと、どうしようもない運命の気配
人はそれを抱えて、描き、語り、踊り始めた
゛禁じられた知゛を受け入れた者たちの
静かで、鮮烈な抵抗のカタチ

カメレオン

「ボクの色、どこにいったんだろう?」
ボクはいつも、まわりの色に合わせて生きてきた
青い世界では青くなり、赤い世界では赤くなって
そのたびに、ボクの輪郭は少しずつ、薄れていった
怒られないように、目立たないように、
゛いい子だね゛って言われるように-----
そうしているうちに、気がついたんだ
----ボク、自分の色、忘れちゃった
でもね、ある日、ひとりのひとが
何もいわずに、ボクをじっと見てくれた
「いろんな色、持ってるんだね」って笑ってくれた
その声に涙がでそうになったよ
ボクはただ、見つけてほしかったんだ
消えたわけじゃない
ボクの色はちゃんと生きてた
隠れていただけなんだ
だから、もう少しだけ勇気を出してみる
今日からすこしずつ、ボクの色で生きてみようよ思うんだ

大丈夫・だいじょうぶ

泥沼の中を歩いているような感覚を
私は知っている
もかいても、あがいても-------
前に進めない
心ない「頑張れ」の言葉に
何度も殺されかけた
かんばらなくていい
きっと飛び立てるから
大丈夫・だいじょうぶ